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請食飯!おごるのはどっち!?

会社で一緒に働く同僚。なんだかんだでもう5年以上の付き合いである。
とは言え、彼のことはそんなに知っているわけでもない。

部署も違うので、オフィシャルなランチやディナーの他ではほとんど話すこともないし、
一緒に飯を食おうにも彼は毎日お弁当を持参して、一人自分の机で食べている。
昨今香港のレストランも気軽な値段じゃないから、お昼代を節約しているのかもしれない。

そういえば、彼の身なりもシックというよりは少し貧相と言った方が当てはまる。
くたびれたようなシャツに、スーツもヨレヨレ。ピカピカの靴なんかみたことない。
であるから、私の彼に対するプロファイリングはずばり、

家は下町。決して裕福ではない家庭で生まれ育ったのだけど、
頑張って大学まで勉強し、今も家族のためにお金を入れながら
節約して頑張っている典型的な苦労人。

多少のブレがあったとしても大筋でみればそういう背景を持っていることには
疑いを持っていなかったのである。

であるから、拍子で一緒にランチに行くことになったときには尖沙咀にオフィスが
あるにも関わらず、わざわざ安い餐廳が立ち並ぶ佐敦に行ってみたり、
それが叶わないときには私がおごったりしていたのだ。
なんてったって、彼は苦労人なのである。ランチのひとつで助けになるなら安いものだ。

なのに、である。
つい最近になって、彼の実家は香港島の一等地でとある店舗を営んでおり、
それなりの繁盛を誇っているという驚愕の事実を他の同僚から聞いてしまった。

それを聞く限りでは彼の家庭は貧乏どころか、中産階級の中でも多少ラグジュアリー
の匂いがして来るような経済環境にあるはずである。
ランチの件で言えば、私はむしろ奢られて然るべきであるべきだし、
それはまさに未だに中国に対してODAを続ける日本を象徴するような奇怪な構図。

人の心配する前に自分の心配しろよ、を地で行く愚行を続けていたことになる。

街を徘徊する隠れ富豪たち

ここ香港には私がいつもフォーカスするような貧民層も大勢住んでいるが、
右肩上がりを続ける不動産や、過去の株の高騰で財をなした富豪たちも多い。

分かりやすく、垢抜けた身なりでシュッとした顔をしてくれている人も
香港島サイドにはそれなりにいるような気もするが、非常にトリッキーなのは
私の同僚のような庶民の住む場所にも平気で顔を出す隠れ富豪たちである。

彼らには「お金持ちらしい格好しなければ」とか、「ブランド物を身につけたい」
というような価値観がどうにもないようで、そこらへんの屋台で買ったであろう
ランニングに短パン、サンダル。(いずれも綻びが目立つ)
そんな出で立ちで街を徘徊し、雑踏の中で寸分の違和感ももたれないように
同化する能力を持っている。

通りを歩いている時に見かける、人生一回も勝ち組になったこともないであろう
覇気が全く感じられないオッサンたち。香港でも一、二を争うと呼ばれるほど
安価で知られる街市でさらに値切りを試みるハングリーなおばさん連中。

おおよそ「持つ者」に属するであろうオーラが全く感じられず、ひたすら
何かを追い求める「持たざる者」としてしか私には映らない。
あのオジサンたちは何を求めて鴨寮街を徘徊し、オバサンたちが街市で
零細店舗に首吊りを迫るかのごとく価格交渉を続ける意味をどこに見出せば良いのか。

近年、香港を蹂躙する大陸からの旅行者たち。気持ち良いくらいに成金風情に
染まりきっている彼らだが、香港と大陸、同じくらいの経済力を持つ世帯から
それぞれお父さんを引っ張って来てみて比べてみると、結構面白い画が
出来上がるんじゃないだろうか。

私はもちろん、香港のお父さんたちに好感を抱いてしまうけれど。

意外なお金持ちが多い香港 – 公屋

それから、話は脱線するけれど香港っていうのは住所を見ただけでも、
その人が私企業出資の建物に住んでいるか、政府提供の住宅(いわゆる公屋)在住なのか
くらいは分かるようになっている。

公屋。大人気である。入りたくても入れない待ち行列が出来ちゃうほどに。
そりゃそうであろう。私たちが10Kを超える家賃を払っているというのに、
運良く公屋に入れた家庭はその半分以下。下手すると1/4とか1/5の破格の家賃である。

当然、公屋に住むには政府の審査が必要で、世帯収入の上限というものが
存在するし、私なんかでもおそらく入りたくても入れない。
そういう意味では、規律上は公屋に住む人=政府援助が必要な家庭という感覚のはずだ。

しかし、である。
どういうわけだか、この公屋在住の人の中には私より涼しい顔をしながら
生活されている方が少なくないように感じられる。

話を聞いてみれば、この公屋システムには多少の欠陥があるように思われる。
例えば、親の世代が入居した時には確かに貧民層であったのだが、
その後家族一同頑張って、子供の世代になったころにはブルジョワジーみたいなケース。

他に公屋が本当に必要な貧困層がいるわけだから、当然この家族は出て行くべき
なんだけど、多少の家賃の値上げはあっても、すぐさま出て行く必要はないわけである。
そういう中で「公屋富豪」と呼ばれる一般的な収入があるのに、家賃負担は
極端に少ないという特権階級が生まれてしまっている。

中には、自分たちは他に移って、本来賃貸不可の公屋を他人に貸していたりもあって、
公屋に関しては問題が山積みである。(詳しい香港人の方たち、記事書いて。)

自分の心配をしろ、自分の。

そういうわけで、香港ではそこら辺を歩いている一般人をとっつかまえてみても、
その身なりや情報から推測される経済力とその実態は大きく乖離していることが
多いし、あんまり意味を持たないことが多い。

よって、私が今回学んだことは、目の前にちょっとダラっとした格好した人が
いたとしてもむやみやたらに苦労人という先入観を持たず、
ここは血を血で洗う拝金主義者の巣窟、香港であることを忘れずに
財布の紐を締めて、むしろ「奢ってもらう」くらいの意気込みで望むこと。

人の心配している場合じゃなかったのである。

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この記事を書いたライターさん : HKLF

HKLF
Cha Siu Baau編集係。偏見に満ちた愛と独断で香港をぶった切る異色ウェブサイト「香港ライフファイル」著者でもあったりします。

10 コメント

  1. すごく良く分かります。
    お金持ちほどユニクロとか普通のブランド物着てるんですよね。
    日本人っていうだけでたかられることもしばしば。。

    住宅問題に関しては、家がないと香港に住むこと自体できないわけで、親が金持ちの人はいいですが、庶民の若い人達はこの先もっと不動産価格上がるだろうし、正直お先真っ暗なんじゃないかと考えてしまいます。

    • HKLF

      昔は結婚するなら家を持っている男子を、みたいなことも言ってましたが、今は普通に考えて難しいですよね。
      どんどん持続的に上昇する家賃。どうなっていくのでしょう。私たちも人事ではありませんね。

  2. Shin-EI

    買い物をするときに値切るのは、売価が利益大盛りなのを知っているからだと思います。おそらくすべての商売人は値切られる前提の値段をつけていて、秋葉原の電器街みたいな感じで交渉に応じているのでははないかと。
    香港では値切るのに富豪も貧乏人も無関係で、コスパの低い商品を買う奴は無能で恥ずかしい、という意識があるのではないでしょうか? 

    あと、「公屋富豪」は日本にもいますよ~。さすがに又貸しする人は聞いたことがありませんが。

    • HKLF

      仰るとおりですね。
      物を値切ったりして、少しでも節約する感覚があるから、彼らはお金持ちになったのかもしれませんし。
      いずれにせよ、飾らない彼らの態度は微笑ましくて好感が持てます。

  3. 確かにお金持ちがすっごい格好していますね。それは香港の建物が見た目ボロいのに中身がそこそこ綺麗なのと同じかなーと思うのです。それと、香港の場合は超庶民なところに行っても治安がいいのもあるのではないでしょうか。

    「公屋」の話ですが、やっぱりイメージはあまり良くないらしく、香港女子はある男性の話をするのに「彼はパブリックハウジングに住んでるのよ?」と嫌そうな顔をしていました。でも香港にもいるんですね、お金持ちなのにそういうところに住む方って。

    そういえば私、香港では香港人におごられっぱなしです。日本人的にはおごり返したいのですが。多分旅行者か香港居住者かの違いでしょうね。

    • HKLF

      外見をあんまり気にしない、というか人のことに関心が無い人が多いので、その分気楽なカッコで歩けるのかもしれませんね。笑

      公屋は確かにあんまりラグジュアリーな感じはしないですが、昨今クレイジーなくらい上昇を続ける家賃を前には背に腹を変えられぬというところですよね。
      もともと狭い香港で、家に人を呼ぶなんてこともそれほど多くないので、どこでもいいっちゃいいような気もしますが。

  4. だいぶ前のコトですがちょっと知ってる、よく、街中でしうさむたいじゅー!ってリヤカーでダンボールや古紙回収したりレストラン裏やwelcomeのゴミ回収手伝っていくらのお金をもらう仕事していた60代くらいのおばちゃんに対して、いつも大変だな、生活援助してくれる家族いないのかなとか勝手に想像していたら、部屋を2軒持っていて、一個は2人の子供と住み、一個は内部を改造して4分割、家賃収入で2軒分ローンは返してお釣りが来る生活をしているという方でした。うーん、職業に貴賎無し、人は見かけで判断するな、のいい例だなと反省したのを覚えてます。

    • HKLF

      いちさん、まさに素晴らしい例をありがとうございます。
      ウダウダ書いてしまいましたが私も結局そういうところに落としどころを持って行きたかったわけです。
      こっちの人は「お金持ちだからXXXXしなきゃいけない」「お金持ちだからXXXXするのはかっこ悪い」っていう概念が日本よりも薄いようでまさに自分の生き方を貫くスタイル。
      日本の感覚とはまた少し違いますが、それはそれでカッコ良い生き方だとも思います。

  5. 実はちょくちょくブログを巡回しにきてました。

    私も香港系のブログを書いたりもするので、確かに叉燒包という媒体は面白いですね!

    今回、いろいろとコメントを色んな方々が残していますが、なぜだかYoutubeの”[公屋潮文] 公屋●居屋●私樓”にどなたも言及されていないので、ちょっとコメントします!←みなさんが広東語が分からないのでしょうか?面白いのでHKLFさんが少し説明か何かされてもいいのではないでしょうか。

    本当に香港人がここまで明け透けだと嫌になっちゃいますね。でも、今の時代、このように娘の相手を吟味するとなると多くの男子は”はぁ?!”となりますね。でも、実際は普通の家庭でここまで相手の資産に顔色、態度をハッキリと変える人も稀な気がします。

    でも、本当に笑える3設定で、それぞれのバージョン、女優の方、マジ上手いです。確か著名な方でしたね!

    • HKLF

      ロンロンさん、ありがとうございます。
      面白いエピソードをお持ちの方が集まりつつあって、叉焼包もなかなか面白くなってきているかもしれませんね。
      引き続きご愛顧のほどよろしくお願い致します。

      動画の件、編集も演出もプロ並みですし、何よりテーマがとっても面白いですよね。
      このご時世、ここまでやってしまうといろいろと問題があるような気もしますが、メッセージ性は秀逸です。
      ちなみに私は一視聴者として純粋に楽しいな、としか見ていなかったので、キャスティングだの背景だのはまったく知らないのですが、そこら辺もいずれ誰かが記事を書いてくれることでしょう。(どこまでも甘え)

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