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「少女時代」と「銀魂」で幸せになる世界

「あ、誰これ?可愛いじゃん。」

「えぇ?知らないんですか?HKLFさん、AKBとか知らないでしょ?」

「悪いけど、正直あんま知らない。おっさんだからね。」

オフィスにおけるうちのチームメンバーの女の子との会話である。
もうすぐ試用期間も終わろうかという新米さんは、それはもう港女を絵に描いたような人で
サウナのような夏日には家の外に出たがらないし、面倒くさいことは何でも絶対「ヤダ」。
そういうことは男が自分のためにしてくれるという思考をDNAに持って生まれている。

尚、彼女のPCのデスクトップでポーズを決めていた女性は、ティファニーさんと言うらしい。
「少女時代」という韓国人グループのうちの一人だということもご丁寧に教えてくれた。

それ以来というもの、私はちょっとした暇があれば、少女時代について勉強している。
「ねぇ、ユナもいいけどさ、テヨンも結構可愛くない?」
「うんうん、歌上手いしね。今度、私韓国にコンサート見に行くの。」
「へぇ、いいねぇ。おじさんも一度で良いから生ユナを拝んでみたいよ。」

・・・そういう会話がパーティションを挟んで和やかに流れていく。

その前までは「銀魂」だった。

私はアニメはあんまり見ない人間だったんだけど、面接をした時から
「私は『銀魂』というアニメが好きで、日本語を勉強しています!」
なんていう、だから今まで面接落ち続けてきたんだろ的なアピールを
してくる人がいらっしゃったので、面白そうだったから興味本位で採用した。

面接の時は頑張って敬語使ってたらしく、実際働き始めたら
アニメの中からそっくりそのまま学んできたリアル銀魂な言葉遣いが
炸裂していて、思った通りとても楽しい人であった。
もちろん、私もYouTubeで銀魂は欠かさず見るようにして、
毎週木曜日はお互いに最新回に関する感想を述べ合うのが恒例行事。

ふたりとも実に良く働いてくれる人で、おかげで私は左団扇である。

ちなみに、少女時代でハッスルするにしても、銀魂でしょうもない笑いに
逃避するにしても、私はその状況をそれなりに楽しんでいるわけなんだけども、
やっぱりただのオッサンがそういうことに傾倒することについては
それなりの経緯があると私の名誉のためにも断っておきたい。

少女時代にしても、銀魂にしても、いまや私の趣味のひとつであると同時に
香港人との大事なコミュニケーションツールのひとつなのである。
「は?」と思われる方かもしれないが、現時点で最良の方法だと私は真面目に考える。

香港人と仕事をすることは本当に難しい。香港生活が長くなった今でもそう思う。
何といってもお金のことが最優先だし、会社や上司に対するロイヤリティなんて
クソ食らえと本気で思っているような連中である。よっぽど優れた能力を
持った上司でも無い限り、彼らが心の中から畏敬の念を持つことなんてないだろう。
香港人という人種の頭の中では自分と会社は同等の立場で、
この世の中も大体自分を中心に回して良い、ということになっている。

今でこそ、「そんなの常識だよ。」と私も笑って話せる常識なのではあるけれど
もちろんこの街にやってきた当時の日本人に、そんなことは分かるわけもなかったから
外国で働くからには頭を柔らかくと思いつつもいまいち日本式が抜けきらなかった私と
上司の言うことなんかより今日上市する新股の方が気になる香港人たちとは
難しい時間も流れたし、彼らもストレスがたまったのではないかと思う。

時は流れて、その間私もいろんなことを試してみた。
ご飯をおごってみたり、自宅でBBQパーティーやってみたり、
プロモーションを目指して頑張ろうね、って励ましてみたり。

それはそれで、若干の成果を得たとは思うのだけど、いまいち私が満足するような
パッとしたパフォーマンスは生まれてこなかったような歯がゆい記憶がある。
今でも時々香港人が何考えてんのか分かんない時があるけれど、
昔の私にそれがもっと分かんなくて香港人とコミュニケーションするのも
宇宙人とするのも大差無いように私は本気で思っていた。

で、ある時、私はあきらめたのである。
「こんなヤツら、マネージするなんて無理だわ。」って。
もともと強いリーダーシップなんて持ちあわせていない上に
コミュニケーション下手な私だし、日本式も社風として通用しない外資企業。

私は、あきらめることに関してはそれなりの権威である。
すっぱり、まったく後腐れなく、現場で上司らしく振る舞うことを辞めた。
そこでやけくそになって彼らと始めた会話が、「少女時代」と「銀魂」の類。

そこからである。
友達にはなれるけれど、仕事が絡んだ関係には絶対なりたくない。
そう私を固く決心するに至らしめていたほどにオフィスでは心が通わなかった
香港人との風通しが急に良くなったのを感じたのである。

もしかしたら、このよくありそうなお話は香港に限ったことではないのかもしれない。
日本でも「最近の若いもんは・・・」っていうのは何時の時代でも聞くし、
若いひとたちと心の会話をすることに日本のオッサンも苦心するのかもしれない。

そうだとしても、香港の90後とお付き合いするほうがやっぱり難しい気もする。
組織から何だかんだ言われることに絶対的にアレルギーを持っているし、
社会もある程度それを容認している、というバックグラウンドもこの街にはあるし。

そんな中で見つけた、宇宙人と会話する方法。
それが「少女時代」だったり、「銀魂」だったりするのである。
オッサンは大変なのである。(といいつつ、最近はそれを楽しんでもいるという噂も)

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この記事を書いたライターさん : HKLF

HKLF
Cha Siu Baau編集係。偏見に満ちた愛と独断で香港をぶった切る異色ウェブサイト「香港ライフファイル」著者でもあったりします。

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