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失われた視界を求めて~【第二章】眼鏡編

失われた視界を求めて~【第二章】眼鏡編

=前回までのあらすじ=
愛用のコンタクトレンズが壊れた。
その後、紆余曲折を経て新しいレンズを手に入れたKYNA。
次なる目的は眼鏡の新調。
無事にジャストフィットの眼鏡は手に入るのか…。

***
眼鏡は購入から既に3年くらいは経ってしまっていた。
新調すべきであろう。

ほうぼうの眼鏡屋さんを覗いてフレームを見ているのだが、所謂ブランドものが多い。
プラダとか、なんだとか(もうわからない)わたくしには縁遠いものだ。
そんな中、地元の眼鏡屋さんのショーウィンドウに

フレームとレンズセットでいくらいくら

というプロモーションがうってあったので、渡りに船、
とばかりに店員さんに手持ちの眼鏡を見せる

「悪いね、あなたの視力ではこのプロモーションでは買えないよ」

ふむ。
懐かしいセリフだ。
日本の眼鏡屋さんで何度も聞いた。
耳に胼胝ができるほど聞かされた。

(回想)
―レンズ代込¥5,250-
―2時間で受け取りできます

しかし私の場合は桁が増え
納期が2週間になった
(回想終わり)

ど近眼はどこ行ってもど近眼扱いなのか。
当たり前なのだ。

***
さていったいどこでお手頃価格で眼鏡を買えるのだろう?
必需品とはいえ、あまりに高額なものは無理だ。
予算が許さない。
なにより私が許さない。

どうしたものかと悩んでいたところ、耳寄り情報が舞い込む。

私が住んでいる地域にそういう眼鏡屋があるらしい。
灯台下暗しとはまさにこのこと。
尖沙咀や銅鑼灣など都心に行かずとも徒歩圏内で
用が済むではないか、いざ、眼鏡屋へ、いざ行かん。

なのであるが苦い記憶がよみがえり
出向くのがたいへん億劫で面倒で、憂鬱になる。
新しい眼鏡は必要なのだ。
そして眼鏡屋へ行かねば新しい眼鏡が手に入らないのはわかっている。
わかっているのだが、また一度で用が済まないのではないかと考えてしまい、
逡巡すること数か月。
やっと重い腰を上げて眼鏡を買いに行った。
そこはレンズだけ買えるということであった。
ならば低予算で済むであろう。
視力をはかってもらい、レンズが何枚も入る
例の眼鏡をかけて遠くを見たり足元を見たり。

「これだと遠くはいいですけど、床がゆがみます」
「これだと床はいいですけど、遠くの字が読めないです」

相談する店員さん二名(親子っぽい)。
何かに気づいた様子。

「あなた、何歳?」
「不惑にございます」
「ああ!」

二人して
「腑に落ちる、とはこういうことです」
という表情をし、私にメモを差し出す。

「老花」

ついに来たか。
ちょうど40歳になった今。
いや待て、実はいつごろから老眼になったのだろう。
もはや近眼の人は老眼にならないだとか
なりにくいだとかいうよく聞く話はもう念頭にはない。

この年は
元日に歯が割れるし
老眼が発覚するし
お腹の肉は落ちないし
体はむくむし
朝早く目が覚めるし

恐るべし不惑。
老化は喜べない、しかし拒まず受け入れなければ。わかってはいる。
そう、生まれてから死ぬまで老化は進むのだ。誕生は老化の始まり。
ああそろそろ終活を始めた方がいいのだろうか。
エンディングノートは香港で入手できるのか。
それよりきちんとした眼鏡を手に入れなければ。
見えなければエンディングノートも書けないではないか。

ちなみにレンズは遠くが見える方を優先し、二枚で1,280ドル。
香港眼鏡業界において、高価なのか安価なのか平均値なのかは不明。

ど近眼
ひどい乱視
老眼

これからどうやってコンタクトレンズと眼鏡を買えばいいんだろう。
視界のピントが合う日は訪れるのか。

つづく(あと1回)

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この記事を書いたライターさん : KYNA

KYNA
2012年来港、広東語・普通話独学中。努力を実らせるのはたやすくないことを実感。加齢のせいか。なじみの茶餐廳の店員さんの「察する」能力でご飯が買えている。ありがとう。

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