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「もうこの会社では学ぶことが何もない。」の季節がやってきた

「もうこの会社では学ぶことが何もない。」の季節がやってきた

もうこの会社では学ぶことが何もない。

この頃よく聞かれる言葉である。

香港は西暦の正月を何もなかったように過ごして、いよいよ本当の意味での正月、
旧正月を迎える時期であり、着々とその準備が進んでいるようにみえる。

そんな活気づく街の水面下で、労働市場も異様な盛り上がりを見せるのがこの時期。

当たり前のように進行する就職活動

香港にはダブルペイと言われる独特のボーナススタイルが存在する。
額は会社によって異なるようだが、旧正月付近で約1ヶ月分の給料をボーナスとして
支給するのが一般的。(日本に比べるとかなり大人しい感じのボーナスだが)

そういう理由から、旧正月がここ香港でのひとつの労働市場の節目となっている。
香港で日夜働く打工仔。いくら仕事が辛くて辞めたくても、
ダブルペイをもらってからキッパリとやめてやる
(それより前に辞職してしまうと、ダブルペイをもらえないケースがある)
というのがこの狭い労働市場の常識となっている。

よって、この旧正月の前の時期、香港人たちは転職したくて仕方がない自分を
ダブルペイという飴でごまかしながらハツラツと振る舞い、その裏では虎視眈々と
自分の志望する会社にCVを送りつけるというまさにしたたかとしか言いようのない
地下就職活動を繰り広げている、というのが季節の風物詩。

一従業員と言えど、一人のビジネスパートナー

そもそも、日本という世界でも特殊な会社文化と比較してしまうのが
ナンセンスだけれど、ここ香港では会社と従業員との間でロイヤリティなんて
ほとんど構築できないと思ったほうがいい。

一番重要なのはもちろん、香港人の大好物である金
ポジション、待遇、休暇日数。いろいろ勘案する条件はあるものの、
それらも最終的に彼らの頭の中では金として換算されて、より多くの
幸せなお金を創造できるチャンスがある職場が彼らの行き先として選ばれる。

日本のように「働かせてもらっている」なんて恩義は毛頭感じていないし、
「長年勤めたから愛社精神がどうのこうの」とかそういう精神論を
延々と語りかけたところで「この日本人は仕事キチガイなんじゃないだろうか
と思われるぐらいがせいぜい関の山なのではないだろうか。

働いた分の対価として金が支払われる。支払われる金はなるべく楽で多い方が良い。
単純なロジックのもと、ひとりひとりが個人事業主のごとく、企業と同じ立場で
物事を考え、交渉し、それが決裂すればビジネスは終了。さようならである。

日本人にとっては味気ない会社と個人との関係かもしれないが、とことん合理的。
去ってほしくない人材がいるなら、もっと金を積め。
という当たり前の現実を突きつけてこられるのがこの香港の厳しさ。
相手は若くて荒削りの一従業員かもしれないが、それでも一人のビジネスパートナーなのだ。

これからいろんな会社を渡り歩く職人としてスキルは商売道具

ちなみに、香港人が会社に求めるもの。金以外にもう一つあげるならば、
それが「その会社で何が学べるか。毎日出社してそれを学ぶ価値があるか。」だと思う。
彼らは手に職をつけていろんな会社をジョブホッピングして渡り歩いていくのが
自分の生きる道だと信じて疑わないから、これは非常に大事な要素である。
当然、もっている武器は多ければ多いほど良い。

そんな背景から冒頭の

もうこの会社では学ぶことが何もない。

が生まれてくるわけである。

私も海外で働くものとして、気持ちは分からんでもない。
だが、ここでは入社一年たったかどうか程度の新入社員が大きな声で、
新しいチャレンジっていうものがないね。スキルが全然身につかない。
とかって言っちゃうわけで、これには未だになかなか驚かされる。

その道何十年みたいなシニアがそういうことを言うならばまったく異論は無いし、
むしろ飲み屋でどうぞいろいろご享受ください、なカッコイイ台詞なのだが、
まだスーツの着こなしもおぼつかないような大学生みたいな子たちが
何の躊躇もなくそんな見栄を堂々と切るのだから、世界は本当に広い。

この会社で、私の今の実力と信用で与えてもらえるポジションは現状が限界だ!
と多少の訂正をしてあげようか、等といらぬ老婆心も頭をもたげたりもするが、
この香港という場所、そのくらいの勢いとたくましさ、根拠の無い自信がないと
生きていかれないのも事実。当たって砕けろ精神で本当に砕けても自分のせいだと
思わない、そんな逞しい精神がここでの就職活動では不可欠なのだろう。

さてさて、今年は一体全体どのくらい人が入れ替わるのか。
これからが繁忙期という、うちの会社にとってはちょっと頭の痛い問題なのである。

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この記事を書いたライターさん : HKLF

HKLF
Cha Siu Baau編集係。偏見に満ちた愛と独断で香港をぶった切る異色ウェブサイト「香港ライフファイル」著者でもあったりします。

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